VOL.24

2002年7月14日、後楽園ホールにて

行われたNJKF興行 DREAM RUSH X

 

7月14日、午前1時、拳之会ファイトクラブビルに集合したのは会長、副会長KOこと大久保和男五段、メディアプロジェクトチーム・チーフ山磨明初段、トレーナー藤原和佳三段、出場選手の藤原国崇三段、高橋拓也三段である。サスペンションにガタがきかかっているエスティマに乗り込み、東京へ出発、午前9時過ぎに後楽園ホールに到着した。計量を済ませ、サウナ後楽園ホールで仮眠を取り、午後4時過ぎに入場、第4試合の拓也の試合仕度をする。

第4試合 K−U・NJKF交流戦フライ級5R

高橋拓也(拳之会)vs山上雅智(八王子FSG)

 両選手共に各団体で昨年の新人賞に輝いており、新人王対決と銘打たれたこの試合。拓也にとっては9ヶ月前、練習中に藤原国崇のローキックをまともに受けて膝の靱帯を損傷しての、長期欠場からの復帰第一戦でもある。また、今回は東京在住の拓也のご親戚の方々も観戦にお見えになられ、俄然負けられない。

高橋、後楽園ホールに久々の登場

 相手の山上選手はローキックの受けに難があるとの情報を入手したため、第1Rからローでつぶす作戦に出た拓也。しかし、これを予想していたのか山上はスエーやバックステップでローキックをことごとくかわし、パンチ、キックで攻勢に出る。拓也の足がもうちょっと長ければ・・・。

 第2R、パンチから崩していく事に作戦を切り替え、パンチからのコンビネーションでローキックもヒットさせる。山上は時折後ろに退りながらも、要所でメリハリのある攻撃を見せ、一進一退の攻防が続く。その中で拓也はラウンド終了間際に首相撲からのヒザ蹴りでダウンを奪う。

組みヒザがズバリ!!

山上、たまらずダウン!

 

立ち上がった山上に中途半端な跳び膝から組ヒザ・ヒジ打ちの乱れうち。しかし直にゴング。

 第3R、完全に自分のリズムを取り戻した拓也は、素速い踏み込みからのパンチコンビネーションをヒットさせる。組んではヒザ蹴りを効果的にヒットさせ、接近戦の中で山上の繰り出した右ヒジをダッキングでかわした次の瞬間、拓也のはなった右ヒジが山上のアゴにカウンターでクリーンヒットした。山上はたまらずダウン、再び立ち上がってくることはなかった。拓也、堂々のKO勝利。

新人王対決はKO決着

 長い欠場が続く中、練習でも思った通りの動きができず、スランプに苦しんだ拓也。一つ一つの技はまだまだ粗いものだったが、この初KO勝利、拓也本人もそうだが、本当にうれしかった私KOはリングに飛び込んで拓也を抱きかかえた・・・つもりだったがズッコケてしまった。

 

第9試合(セミファイナル) NKB統一ランキングバンタム級2位決定戦

藤原国崇(拳之会)vs弘中史樹(ウィラサクレック)

 以前、対戦が決定しながら、弘中選手の負傷により流れたこのカードがNKBランキング戦として行われる。実は今回、試合の10日ほど前に練習中に右足首の靱帯をのばしてしまった国。右足で蹴ることができなくなった。もちろん右足が軸足となる左の蹴りも前蹴りくらいしかできない。試合ができるのか?が重大問題であったが、それでもやると国。会長に「弘中をナメとるんか、そんなんで勝てる相手じゃねえぞ」ときつくたしなめられた国だが、試合当日が来てしまった。対する弘中も2ヶ月前にNKBトーナメント準決勝で山本恭太とフルラウンド戦っており、体調が万全とは言い難いのではなかろうか。

 入場前、左腕をギプスで固めたNKBバンタム級王者・中野智則選手が国に激励の声をかける。中野君ありがとう。そしてリングイン、不安がよぎる試合開始。

 第1Rから右の蹴りを封印したパンチコンビネーションを中心に弘中に立ち向かう国、しかし弘中の左ミドルキックを中心としたバリエーションのある攻撃、首相撲に押される。弘中優勢のラウンド。

 第2Rも弘中は右足をねらったローキック、首相撲などで攻撃の手をゆるめない。負傷のためかローのチェックもできない国は厳しく注意したにもかかわらずローを手で受ける事が何度かあった。このラウンドも弘中のラウンド。インターバルで「このままでは勝てない。この試合、絶対に落とすわけにはいかない。」右の蹴りを使うよう指示。国も覚悟を決めた。

 第3ラウンド、右の蹴りを織りまぜたコンビネーションを使い、跳び膝なども繰り出す国。弘中はミドル・ローを繰り出し、跳び膝を返す。両者の攻防はヒートアップする。

 第4ラウンド、国は拓也を長期欠場に陥れた(セミ)キラーローを中心に攻撃を組み、弘中もヒジなどを繰り出し激しい技の応酬。その中で国は跳び膝を連発しヒットさせる。また、突進してのヒジ打ちにより弘中を出血させ、コンビネーションから繰り出した右ハイキックで弘中をダウンさせる。

藤原の右ハイがクリーンヒット

ダウンを奪う

 最終ラウンド、前ラウンドにダウンを奪ったもののポイントでは負けている。絶対にここで決めろ!パンチ・キックを振り絞る国に弘中も応える。しかしダメージの蓄積がみられる弘中は首相撲からの膝蹴りをもらいダウン。浅い膝蹴りだったためボディにはさほどのダメージは与えていなかったようだが精神的には俄然優位になった国、立ち上がった弘中に(スリークォーター)キラーローを決めて、再びダウンを奪い、10カウントKO。

組みヒザで攻める藤原

 両者、あらん限りの力と技でぶつかった。あの強敵弘中を倒せるか?セコンドにとってはスリリングな逆転KO試合だったが、観客の皆さんにはどう映ったのだろうか・・・・?

 

 全試合終了後に格闘技通信誌の取材を受けた藤原・高橋。帰りが遅くなったが無事遠征を終えた。

 

 

 今回、試合前の調整の重要性というものを文字通り痛いほど感じたであろう藤原国崇、十分反省し、またこの試合でも見えたいくつかの課題を一つずつつぶしていくように。そして拓也浮かれてないで練習だ。

 二人とも練習、練習、練習だ。

 

 試合の最中は勿論、試合の前後に高橋・藤原の両選手に観客の皆様から暖かい声援と激励を頂きました。

本当にありがとうございました。

前の観戦記を読む  
次の観戦記を読む